伯耆大山 古道の横手道から廃道の正面登山道を歩く
伯耆大山は中国地方唯一の百名山ですが、標高は1710mと全国的に見れば2000mにも満たない低い山です。しかし日本海に面した独立峰であって、厳冬期の厳しさは3000m級の山にも匹敵するといわれています。
山容は南北から見ると、屏風を立てたような横長に見えるのですが、西の米子・溝口方向から見ると綺麗な富士に似た様相です。
今回はこの真正面から直登に近い道を登ることにしました。マップで見るととてもワクワクするルートです。この道は現在では「廃道」とされていまして、道標や案内は全くありません。登山口の案内さえもありませんが、実は地元の方は今でも普通に登っているという話です。
天気さえよければ、上の写真のように米子・溝口方向へは全く遮るものがありませんので眺望は抜群なはずなのですが、このたびは残念な結果になってしまいました。
今年で開山1300年という大山、そのご本尊である大山寺への参道として利用されていた横手道を歩いて正面登山道の登山口へ向かいます。
案内板から横手道の説明書きを転載します。
大山道の発達は、大山信仰と大きく結びついています。大山は古代山岳仏教の聖地であり、「弥山禅定」といった修行僧による修験の山として開かれました。
大山寺を開いた金蓮商人が大智明権現(地蔵菩薩)を祀ったことで、地蔵信仰が生まれ、亡くなった人を供養する寺として多くの人々が訪れました。この横手道沿いにも一町地蔵があるのはそのためです。
また、来世の変身を願って日本六十六ヶ国を巡礼する廻国行者が歩いた道でもあり、著名な社寺に大乗妙典(法華経)を書写して奉納したのです。六十六ヶ国のうち、山陰地方の社寺は、出雲の「大社」、伯耆の「大山寺」、隠岐の「焼火」、因幡の「一の宮」が指定されていました。
江戸時代になると、大山博労座で日本有数の牛馬市(福島県白河の馬市、広島県久井の牛市の三大牛馬市)が開かれ、各方面から牛馬を連れた多くの参拝者が大山道を通りました。現在でも大山寺境内には、宝牛の像があり牛馬信仰が残っています。
このように大山へ詣るための道として整備されたのが「大山道」です。大山道は5道(尾高道・川床道・坊領道・溝口道・横手道)あり、「横手道」はそのひとつです。横手道の名の由来は「大山の西側の山腹を横切る道」ということから名づけられました。
当時は大山寺を出発し、横手道を通って岡山の美作へ抜けて、山陽方面とを結んだ道でした。
※ 一町地蔵:60間(約109m)おきに置かれた丁石の意味を持つ石地蔵
岡山県の大山道は、湯原釘抜から三坂山の麓を通って久世三坂へ抜け、美作追分あたりに続いているのは道標で確認しています。
さて、大山寺から横手道を50分(2.8km)歩くと桝水スキー場の上の展望台へ到着します。このときは辛うじて弓ヶ浜が見えていました。展望台の上のベンチの対面から登って行きます。
暑苦しいブナの樹林帯を抜けて、虫がブンブンまとわりついてくる低木帯を抜けると高度感のある絶景が得られるはずでした、しかし。。。
期待した眺望は得られることなく、残念ながら山頂へ、
登山バッチを買って、景色は諦めて帰ることにしました。
頂上避難小屋の売店にしか置いてありません。
これですね、登山届けはコンパスで提出していますが、Bluetooth はOFFにしてるから意味ないじゃん。「Bluetooth を ON にしてください」と表記して欲しいものだ。
詳細な道中記はこちらへ。
この季節、大山の六合目より上は思いのほか虫が多く耳たぶだのおでこだの刺されてしまって非常に痒い。防虫スプレーでは間にあわないので、防虫ネットがあったほうがいいですよ。
この防虫ネットを使っています、
前も見やすくて歩行の邪魔になりません。
山に一眼レフを担いで登る人
私も最初は一眼レフをと交換レンズを携えて山登りをしておりました。さらに遡れば、一眼レフと三脚を携えて滝に通っていました。
滝の撮影に行く時は別ですが、いわゆる山歩きやピークハントが目的の場合は、いつの間にか一眼レフは自宅待機になってしまいました。
ブログやヤマレコ、さらには現場で一眼レフを抱えて山登りしている人たちを拝見するにつけ、頭が下がるというか、羨ましいというか、ご苦労様というしかありません。
山登りをする人ならほとんどの場合、カメラは携行しているでしょう。コンデジやスマホで十分なのか、はたまた一眼レフが必要なのか、意見は分かれるところです。
一般に、撮影は「記録やスナップ」と「作品作り」に大別されます。前者の場合はSNSなどにアップしてパソコンやスマホの液晶で見るだけ、後者の場合はフォトコンに応募とか大きくプリントして飾る用途になるでしょう。
記録だけならコンデジやスマホで十分、作品作りなら一眼レフと三脚は必要。コンデジやスマホであればポケットに入れておけば、歩を止めるだけで気軽に撮影できます。片手で扱えればなおグッドでしょう。作品作りなら、目的地まで撮影機材を運んで、そこでじっと時が来るまで待ってシャッターを切ります。
ややこしいのは、道中で歩を止めて撮影するスナップの撮影に一眼レフを使うかどうするかということです。私も以前はタウンスナップを一眼で撮っておりましたので、山歩きでも一眼レフをぶら下げて歩きたいのは山々なのですが、今は諦めています。未練たらしくミラーレスを試しましたが、まだまだ歩くだけで精一杯なので、片手で扱える頑丈な防水コンデジで我慢しています。
山で一眼を使って道中のスナップ撮影をしている人は、首からぶら下げて歩いている人、むんずと片手に握って歩いている人、サコッシュかホルスターケースに入れて歩いている人、そしてショルダーベルトに引っ掛けて歩いている人、いろいろいらっしゃいます。
山で一眼をぶら下げたり手に持って歩くと危険でもありますし、機材を壊しやすくもあります。恥ずかしながら私の場合、閉め忘れたザックから落としたこと2回(なんとか無事)、レンズ交換中に誤って落下させたこと1回(修理行き)、カメラを手に持ったまま滑って転んでレンズが再起不能になったこと1回(事なきを得たこと3回)。全て滝撮影の道中での事ですが、山での一眼には少々懲りております。
現在は安全に歩くことを最優先に、画質は我慢して防水コンデジの世話になりながらも、少しづつミラーレスでの運用を模索しています。携行方法はショルダーベルトに引っ掛けるか、軽いサコッシュを利用するか。
これがお安くなっています。
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山に一眼レフを担いで登る皆様、人もカメラもお怪我のありませんように。