アコースティックギター 木目と音の話 #2
Martin OOO-45 1928
戦前の Martin OOO-45 です。先に紹介した D45 に比べると、木目は広いし曲がってます。D45は寒いアラスカ地方で採れるシトカスプルース、こちらの OOO-45 はアパラチアン地方で採れるアディロンダックスプルースということによるものだと思いますが、おなじスタイル45でもこんなに違います。
個体差が大きいので一概には言えませんが、シトカのほうがアディロンより硬いといわれています。ですので音も硬いのか、といわれたら必ずしもそうではありません。ウォームなサウンドのシトカもあれば、硬いサウンドのアディロンダックもあります。作り方次第です。
このギターは総重量がかなり軽い事もあってか、ヌケがよくて軽くて明るいサウンドだったと記憶しています。ピックを使いたくないギターでしたね。
ビンテージマーチンの多くがアディロンダックを使用されていることで、「アディロンが最高」との説を聞くことがあります。やはりビンテージマーチンはギター小僧の憧れでありますから、「アディロンが最高」との想いは、少なからず私にもあることを否定しませんが、必ずしも「アディロンがベスト」というわけでは無いとも考えています。
アディロンを使ったのはそれが最高ということではなく、単に近場で調達しただけのことではないかと、夢を壊すようなことを申し上げます。個人的には、シトカスプルースのほうが選別もしやすく、見た目も美しいし、サウンドも作りやすいのではないかと思っております。
しかし私もギター小僧です、アディロントップのギター、現在も一本持っております。やっぱりアディロン、一家に一本はあったほうがいいでしょう。