道楽者の詩

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フレット音痴の対策

ギターは元来平均律の楽器ですから、厳密に言うとチューニングは合いません。大衆楽器ですから、その分とっつきは比較的簡単かもしれません。ですが楽器というからには、使用に耐えうる程度には合うようになっていますし、合って貰わないと使い物になりません。

いわゆるフレット音痴とは、いわゆるギター(楽器)の程度を越えてチューニングが合わないとか、もしくはローコードは綺麗にハモるけれどハイコードになるとハモらないとか、特定の弦とか特定のポジションの音がおかしいという欠陥的な状態です。

 

対策の一番目は、まずは弦の交換です。古い弦を使っているとチューニングが合わなくなります。私など、潤沢に弦を購入できるだけの財力があったころは一ヶ月で交換していましたが、最近は半年くらいは平気で使ってます。ですので年中チューニングはまともに合ってません。

バカな話はさておき、ギター本体に原因がある場合は、下記のような対策をとって行きます。

 

1.サドルの加工による総弦長の補正

芯線の太さから、6・2弦は押弦すると本来の音よりもシャープする傾向があります。これの対策のとしては、まず、2弦と6弦の総弦長を長くしようと試みます。いわゆるオクターブピッチの調整と言われる作業です。弦長というのは一般的にナットから12フレットの2倍とされます。これに対して、2弦で+2mm、6弦では+3~5mm長くするといわれています。

タカミネやローデンに見られるセパレートサドルなんかは調整しやすいでしょうが、それでも現実的には既にはめられているサドルを削るか作り直すかして、その厚みの範囲内で調整せざるを得ません。それでは調整不十分というのなら、下に記述するサドル溝の切りなおし、またはブリッジの作り直しになります。

またサドルの幅は、マーチンで2.6mm程度ですが、これを5mmくらいの幅にして調整代を稼ぐ手法も最近ではよく見かけます。しかしこれは新規でブリッジを作成する場合、それもカスタムで作ってもらう場合に限られますので、一般的ではありません。ちなみに私が作ってもらったカスタムギターのサドルの厚みは4mmくらいにしてもらってました。

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エレキギターは各弦に弦長調整機構がありますので、テレキャスは2本単位か?、いずれにしてもエレキギターのオクターブピッチの調整はしやすいです。また弦高は出来るだけ低いほうが、音程の狂いには有効ですので、ビビらない様にメンテナンスしておく事も大切です。

 

2.ブリッジ溝の切りなおし

ブリッジの位置が適切な位置に取り付けられているにもかかわらず、それでも6・2弦がシャープしやすい場合は上のサドルの調整で対応するのですが、それで不十分な場合はサドルの溝を切りなおして(もっと角度をつけて)調整する場合があります。

かのマーチンも70年代の量産期はどうもブリッジの位置が前に来ていて総弦長が短くなって、概してシャープしやすいものが多いと聞きます。私のD-35もそうでした。マーチンとかギブソンとか、歌の伴奏に使うようなギターは、主に5フレット以下で使用されるので、細かいチューニングのズレは話題にならない場合も多いですね。しかし演奏中にチューニングのズレが気になるような場合は対策を講じる必要があります。

本来はブリッジの交換対応が望ましいのですが、費用もかなりかかります。私のD-35(’79)はサドル溝をきりなおして対応しました。いくらか改善はされましたが、ブリッジの幅の問題もあって結果はもう一つでした。もう一台 現有の SCGC OM もこの処置をしました。こちらはまずまずOKレベルに改善されました。

しかしブリッジの溝の切り直しはかなり難しいということで、何人かには断られました。

 

3.ブリッジの張替え

上でも書いたように、そもそもブリッジの位置が適切でないギターというのは実在します。大手ブランドでも存在します。その場合はブリッジの張替えをするのが妥当です。ただ、ここまで来ると「調整」という域を超えてきます。単にブリッジを張り替えるだけでなくトータルバランスのチェックも必要になってきますので、指板の作り直しも念頭に入れておいたほうがいいでしょう。

 

4.指板の交換

廉価ギターに見られるフレット音痴の原因の一つに、「フレットの位置の不備」というのがあります。フレットの間隔が目で見て分る程度にばらばらになっているのです。この場合はリフレット(フレット交換)というわけには行きませんので、指板の作り直しになります。廉価ギターであれば、(思い入れがなければ)捨ててしまって新しいの買ったほうがいいです。

 

5.ネックの作り直し+指板交換+ブリッジ交換

まあこれが最強でしょう。マーチンでもすごいのを見たことがあります。Martin D12-20('65)、見てくれはいいのですが、フレットの間隔が目で見て分る程度にばらばら、おまけにギブソンで使う太いやつを使用しているというお まけつき。母国にて酷い修理がなされていました。しかしオーナーは、5フレット以下しか使わないので事実上たいして問題ないと仰せでした。

しかし気分も悪いし辛抱堪らんということに加え、ネックのそり、元起きも手伝って、結局リセットではなくネックの差し替え(新規製作)をされまして、非常によい状態になりました。当然指板もブリッジも作り直しです。

 ここまでするのはかなり特殊な事情があってのことで、指板の交換とブリッジの張替えでたいていは何とかなると思います。まあそこまでする人さえ、かなり少ないと思いますが。

 

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ほかにも、チューニングをあわせて綺麗な和音が出るようにしようとする試みはいくつか知っていますので列挙します。

1.ファンフレッティング

ファンフレッティングは2本弾きましたが、時々バレーでおいおいと思うけど、まあ弾けないものではない、多少は有効なんだと思います。知り合いが作ってるギターを紹介しておきましょう。左上ね。もう一本は長野県あたりで作ってる小林さんのギターでした。

 

2.バズ・フェイトンチューニングシステム(BFTS)

3.ミネハラチューニングシステム(MTS)

BFTSとMTSは、エレキギター向けというか、変則チューニングとカポには対応できないので、個人的に関心は低く、ここでは詳細は触れません。

 

ぱっと思いつくにはこんなところでしょうか?

 

 

与太ばなし

アレはGREVENでした。それもアメリカから、どうもハカランダらしいギターをローズということで格安で引っ張ってきたモノらしいですが、これは見事にチューニングが合いま せんでした。大阪の何とかというショップで手当て(修理内容・金額は不明)をしてもらったと聞きましたが、ダメ。自分にはチューニングできませんでした。うわさにたがわずオリジナルのGREVENはすごかった。

こんなとき金をかけずにどう対応するのか、ほとんどギブアップなんですが、某ショップの店長曰く、「これで諦めたらGREVENは弾けんよ」。おお、なんとすばらしい!!、で対応は?

「そりゃあんた、この状態でチューニングが合う弦を探すのよ」 w(°o°;)w 

思ってもみませんでしたね、そんな技があるんですか。どうもGREVEN愛好家の間では、こんな都市伝説があるらしいですよ。

 

多分ですが、指板とブリッジを交換すればたいていは治ると思います。おっと、買いなおすほうが手っ取り早いとは思いますが。。。