道楽者の詩

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武士道を捨てたジャパン 祝、ワールドカップ グループリーグ突破

ロシアで開催されているサッカーワールドカップで、FIFA ランキング61位の日本がグループリーグを突破した。欧州・中南米以外では唯一の決勝トーナメント進出国である。その困難な道のりを乗り越えて出した結果は、日本人の一人として私にとっても大きな喜びだ。

 

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グループリーグの最終戦、ポーランドとの戦い方に関しては賛否両論がある。主戦6人を入れ替えたリスキーなスタメン、そして試合終了前の10分間は得点を奪おうとする姿勢を辞めてしまったこと。特に後者に関しては海外からも賛否両論を浴びせられている。

 

私はサッカーの競技経験はないので、あくまで専門外の立場ではあるが、試合終了前の戦略の決断は、日本からジャパンへ、ワールドレベルへのステップアップであると感じた。「武士道とは、死ぬことと見つけたり」、この言葉の意味合いの解説は他に譲るが、「玉砕を否定しない精神」と理解している。しかしワールドレベルの競技においては、武士道だけでは望む結果を得ることはできないということである。

 

 

もちろん、フィジカル、スピード、テクニック、判断力、その他の基本素養において優位性があればそれに越したことはない。しかし日本人の優位性は、少しの敏捷性、そして己を殺しても他を生かすという献身的なチームワークくらいしかない。狡猾さも乏しく、世界レベルで戦うのはきわめて困難だ。ドーハの悲劇は忘れられない。

例えば個人技に頼ったプレーをする傾向がある南米諸国のサッカーは大好きなのだが、姑息な個人技も当たり前のように繰り出してくる。今大会初戦のコロンビア戦で得点を許したフリーキックのきっかけとなったファウルはお得意のシミュレーションだったように思う。長谷部がファルカオにしてやられた形だ、ずっこいとは思うものの、勝てば官軍。彼らも他国からバッシングを受けることはあるだろうが、もう当たり前になってしまっていて、結果を出した者の強みだろうかどこ吹く風だ。

 

同じく今回のポーランド戦の試合の終わらせ方に関して受けた他国からのバッシングは、少しは認められたと受け止めてもいいのではないか。好意的な表現で持ち上げられても、安全パイと思われていたのではいつまでたってもワールドレベルにはたどりつけない。データの分析や戦略を、ジャパンの優位性のひとつに加えてもいいのではないだろうか。

 

いずれにしても今回の西野監督の決断は、明確なミッションに対する非情な決断だったと賞賛せずにはいられない。

大会前には電撃的な監督交代のドタバタがあったチームジャパンのミッションとはもちろんグループリーグ突破であり、必ずしもリスクを犯して目の前の一点を取りにいくことではない。決勝トーナメントの初戦でベストパフォーマンスを出して戦うこと、さらには初戦突破をして歴史を更新することだということを忘れてはならない。

西野氏は、監督として指揮を執ったアトランタ五輪では二勝して勝ち点6を獲ったにもかかわらずグループリーグを敗退した。勝ち点4であっても、最終戦で負けを受け入れても、グループリーグ突破のほうが重要だということはあきらかだ。さらに決勝トーナメントを意識してスタメンを6人入れ替えることで、最小限のエネルギーで目的を達成したといえる。

このリスキーな戦略と決断は、非常に冷徹であったと思わずにはいられない。

 

もしあなたがその場の現場監督だったらどうしますか、もし自分だったらどうするだろう。責任者としての経験が全くないではないが、ここまで冷静に判断するのは難しい。無意識であったとしても、「武士道」を選んでいたような気がする。

 

さて、決勝トーナメントは中三日でベルギーだ。ベルギーは、個人的には優勝候補最右翼と考えていた。ブラジル贔屓の私だが、ベルギーは強い。韓国のジャイアントキリングという実例があるにはあるが、日本が今のベルギーに勝てるイメージを抱くのは贔屓目に見てもかなり難しい。過去のベスト16の戦い、トルコ戦、パラグアイ戦よりははるかに厳しいものになるだろう。

しかし、ブーイングを受けながらももぎ取ったトーナメント進出を無駄にしないでもらいたい。個人的には、クレバーな試合運びをしてもらいたいと思う一方で、武士道を貫いて戦って欲しいとも期待している。