何をいまさら Canon EOS M3 物語 / キャノンのミラーレスってどうなのよ
率直な個人的結論を申し上げると、キャノンのミラーレスカメラというのはあまりお勧めできるカメラではありません。ただし、既に EOS のレンズ資産をお持ちの方が「サブ」として入手するのはありだと思います。というか、それしかいいところはないような気がしています。マウントアダプターを経由して、全ての EF レンズをフル活用する事ができるのは大きなアドバンテージです。
そもそもミラーレスというカテゴリー自体が中途半端だといえますので、どのメーカーのどの機種にするのかは難儀な問題です。
使う人によって位置づけや求めるものが違います。
「写りのよい大き目のコンデジ」、「軽量で一眼レフ並みの写りと操作性」、大雑把に言うとこのふたつに集約されるのではないでしょうか。言い換えれば、コンデジからのステップアップ組、一眼レフからのダウンサイジング組ということです。使用目的をある程度明確にしておかないと満足感は得られにくいと思います。帯に短したすきに長しという感じです。
作るメーカーにとっても位置づけは異なっています。
M4/3 をフラッグシップ機として開発している Panasonic、動画・デザインなど先鋭的な SONY、質実剛健を感じる Fujifilm、そしてやる気をあまり感じない Canon。
キャノンは、ミラーレスというカテゴリーでは最後発です。初代 EOS M の発売は2012年9月、LUMIX GF1 の発売が 2008年ですから4年後ということになります。さらに M3 の発売は3年後の2015年3月、7年経ってやっとモードダイヤルが独立しました。
ビューファインダーを搭載した M5 の発売は2016年11月、LUMIX G1 が発売されて8年が経っています。動画性能に関してはいつも他社の後塵を拝してきていました。
そもそもキャノンの中ではミラーレスというのはエントリーシリーズ、初心者向け、一眼レフのサブ的扱いのよう(EOS M 発表時の談話)で、記念写真とかスナップ用のお手軽カメラという位置づけなのだと思います。仕様にしても中途半端です。
・初心者向けを謳いながら圧縮 RAW が用意されていないのは理解に苦しむ
・リモートスイッチが使えない
・カスタムモード登録で、露出補正値とセンサークリーニングが登録対象外となっているのはバグじゃないか
EOS M は、キャノンにとってはあまり力が入っている製品とは思えません。今後とも出し惜しみ的な格差付けが継続して行われるでしょう。EOS 一眼レフを所有している人のサブカメラとしては許容できるかもしれませんが、EOS 一眼レフのリプレース対象にはできない機種です。
EOS xxD と同程度のスペックで、単純にダウンサイズされた機種として扱って欲しいと思うのですが無理のようです。機構上の制約で、動体追従が苦手とか、レリ-ズタイムラグ大きいとか、EF レンズのコントラストAFほどのスピードは出せないのは致し方ないとしても、使い勝手(操作系)に関しては同程度にしてもらいたいのですがね。
そのようなことで、ミラーレスから写真趣味を始めようとされる方には、キャノン以外のメーカーをお勧めします。できればフラッグシップ的な扱いをしているメーカーが精神衛生上お勧めです。
個人的には Fijifilm Xシリーズがお勧めですが、ちょっと重厚かと感じるのであれば、Panasonic の LUMIX もお勧めです。Sony も悪くはないようですが、ちょっと華奢な印象が抜け切らないのと奇抜なデザインが苦手なのでお勧めしにくいところです。
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