道楽者の詩

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残雪期の伯耆大山、12本爪の本格アイゼンは必要なのか?

これまで幾度となく、「残雪期(2月末~3月中旬)に大山に行くなら、どうしてもアイゼンは12本が必要ですか」と尋ねてきました、そして話半分であってもネット情報も収集してきました。おおむねの返答は「12本が必要」という論調でした。では何故なのかを突っ込むと「前爪が必要なんだ」ということで、急傾斜を登るときにキックステップが必要なんだという説明でした。

 

素直に「ああそうですか、ほな包んどいて」といえたら何も問題はないのですが、頂く説明がどうしても納得ならんのですよ。確かに12本爪の本格アイゼンの出っ歯といわれる2本の前爪は、急斜面をキックステップでステップを作りながら登る時や、アイスクライミングで垂直の壁を登る時には必要不可欠なものです。そのくらいは知っていますし、納得もしています。しかしそれが大山の残雪期に必要だという説明が理解できません。

 

大山の6~8合目が急斜面だということは無雪期に登って体感しています。アレが完全にアイスバーンになっていたら、それはちょっと怖いでしょう。しかし急斜面と言っても、強風がなければロープやビレイが必要というほどではなく、二本足で十分登れる程度の斜面です。そして歩いている人の数が非常に多いので、残雪期には十分なステップがあります。多くのレポ写真でも確認できますが、実際に行ってきました、こんな感じです。

 

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これが標高差200mくらい続きます。

 

今回はダメなら素直に引き返そうと決めて、所有している8本爪で登ってきました。正誤は別として、いただいた説明に納得が行かない場合は、実際に自分で試してみないと気がすまない性分なのです。

 

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で、自分なりの結論を得ました。

 

危険なのは登りではありません、降りです(当たり前といえば当たり前ですがですが)。出っ歯の2本の前爪は特に必要ありません、必要なのは出っ歯以外残りの10本、踵部分と指の付け根辺りの爪です。下りの場合、足を着くのは踵からか、純然たるベタ足(フラットフッティング)ではないでしょうか。8本爪ではベタ足で足を着こうとしても効く爪が正味6本なので、主に足の半分より後ろを使って接地しないといけないのでちょっと心許ない。これが12本だったら先端の2本を除く10本の爪を利用して足の裏全体でグリップを効かせられるので、降りやすかっただろうなと思いました。

登りに関しては8本でも、人によっては6本でも大丈夫でしょう。でも6本の場合は踵の裏に爪がないので、登ることはできても降りるときにはかなり辛いでしょう。

 

以上、私の登った時の条件の話で決して一般論ではありませんが、

「残雪期の伯耆大山、12本爪の本格アイゼンは必要なのか?」と臆面もなく尋ねてくるレベルの人は、12本を使うべきです。降りられなくなります。状況をよく承知されていたり、降りの足裁きを熟練されている方や、登る時に降りることを想定できるような方であれば、6本軽アイゼンでも何とかなるのだろうと思います。

結論としては、自分には12本が向いていると思いました。答えは同じでも、その理由はいただいてきた説明とは違います。12本が必要なのは登る時ではありません、降る時です。

 

 

今回その気で登山者の足元に注視していましたところ、12 or 10本爪の本格アイゼンでなかった登山者は私を含めて2人だけでした。6本爪は確認できませんでした。今度来る時は是非とも12本で登りたいのですが、年に1~2回の事に靴とセットで6万円はね~。

12本爪アイゼンを装着しようとすれば靴から揃えなくてはならなくて、新品であれば両方で最低6万円です。命に関わる道具に6万円は安いだろといえば確かにそうでして、そのくらいのことは自分でも十分認識しています。しかしですね、1ヶ月のお小遣いが6万円以上あったのははるか昔の話です。今はその10分の1さえもありません。。。

 

現在所有している靴にも対応する12本爪が最近発売されたということですが、一気に買っておいたほうが結局は安くつくとも言います。来シーズンまで悩むことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

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