低山・日帰り登山向け レインウェアの買い替え
最初に買ったレインウェアはモンベルのサンダーパス、右も左も判らない5年前、三種の神器と言われて購入しました。その頃はヤブに突入する事が珍しくなかったので最も丈夫なもの(最も分厚いもの)という条件でご提示いただきました。
ところが最初に使ったその日にパンツの裾に穴があき、5年を経過した現在までに着用したことは4~5回、時間にして10時間以内です。実質、ザックの中の錘みたいなものでした。現在は犬の散歩のときに使う程度で、雨が降る確率の高い日に山に出向くことはなくなりました。ですので実質的には、レインウェアなんて必要ないのです。
しかしながら、多少の降雨を憂慮して予定を取りやめるのはもったいないと思うようになりました。現有のLサイズではかなりダボダボだということもあり、多少の雨でも気分よく着用でき、快適に行動できるようにと、レインウェアの買い替えを検討することにしました。
たぶん、「これを買っておけば間違いない、着心地も悪くない」といわれるモンベルのストームクルーザーの上下をセットで買うことになるだろうと思っていました。ストームクルーザーの色味は鮮やかで私好みであることに加え、巷での評判も申し分ありません。
ところが、最近の新製品を調査検討を重ねて行くと、他にも選択肢があるような気がしてきました。調査なんかしなければ、簡単に平均以上のものをチョイスできるにもかかわらず、時間をかけて遠回りしてしまうのは性分というか困ったものです。より良いものを手にできるならそれでもいいのですが、時間をかけて、遠回りして、散財をして、不適切なものを掴んでしまうこともありますので注意しておかなくてはなりません。
ストームクルーザーは落ち度のない模範的で良い製品だと思いますが、低山・日帰りに限定すると必ずしも最適とは言えず、他にも選択肢があるんじゃないかという印象を持ち始めました。いわゆるモンベルらしいオールマイティーな製品であって、一芸に秀でているというわけではないという感じです。
自分の場合は、ほとんどが標高1500m以下の低山の日帰りで、レインウェアは保険です。降雨の時だけ着用して、ウインドシェルは別途用意するという運用です。この目的に限定すれば、ストームクルーザーよりも適した製品がありそうだと思うようになってきました。透湿性やゴアテックス素材についていろいろとお勉強をさせてもらうこと約二ヶ月、梅雨の時期はいつの間にか通り過ぎていました。
防水性の数値について
体を濡らさないための防水性や透湿性の重要さは十分に理解しています、またゴアテックスの特徴や性能も理解しています。
レインウェアに必要な耐水圧性能は20m、これだけあれば嵐にも耐えられるとされています。しかしレインウェアはテントじゃないので、ザックを背負う肩など局所的にはかなりの荷重がかかり、耐水圧は机上の数字以上のものが求められるのが実情です。
モンベルのストームクルーザーの耐水圧は50mです。雨の中をザックを担いで長時間縦走する場合には50mくらいは必要となる場合があり、低山日帰りであっても20mは必要と理解するべきでしょう。
透湿性の数値について
透湿性に関しても数字で説明されている記事をよく見かけます。レインウェアを着用するのは、ウインドシェルとして日常的にも使用するのか、雨が降っている時だけ着用するのか、それに寄って商品選びは異なってくるのではないかと以前から感じていました。
外気が乾燥している場合には、透湿性能が高ければ内部の湿気は簡単に外部に放出されていくでしょう。しかし雨中、もしくはそれに近い状態だと外気の湿度は100%に近い。その環境だと、レインウェア内部に充満している湿気がゴアテックスを通して外部に放出されることはあまり期待できません。3レイヤーの生地であれば、裏地が多少は湿気を吸い込んでバッファー機能を果たすかもしれませんが、裏地の生地表面に湿った感触は残ることでしょう。
つまり、ウインドシェルとして使用する際にはゴアテックスの透湿性が十分に発揮されますが、外気の湿度が100%に近ければ、内部の湿気が簡単かつ数値通りに、外部に放出されてはいかないと思うのです。雨中においては、ゴアテックスがいくら優秀でも内部の湿気は抜けきらず、内部の蒸れは収まらないと思うのです。
このあたりのことをすっきりと解説してくれる記事を探せないので、実際に自分で使ってみるしかないという残念な状況です。
私のようにレインウェアを着用するのは雨が降る時だけという者にとっては、素材がゴアテックスであろうがなかろうが、雨中での行動中は蒸れると思うのです。蒸れの解決策は、強制的に湿気を放出できるピットジップ(ベンチレーション)が有効ではないかという考えに至ります。ベンチレーションで換気をしたとしても、多少温度が下がる程度で、湿度や温度は外気と同等にしかなりませんが、効果は高いと思います。雨中でしか使用しないのならば、透湿性能が高いゴアテックスよりもベンチレーションのほうが効果がありそうだ、さもなければ傘を使うしかない、というのは勘違いでしょうか?
ハードシェルであればピットジップが装備されている製品は多いですが、ピットジップ付きのレインウェアの選択肢は少ないです。モンベルのレインウェアで、ピットジップ(ベンチレーション)が実装されているのは、トレントフライヤーとストームクルーザーUSモデルだけで、どちらもゴアテックスモデルです。後者はシルエットも多少スリムでよいのですが、店頭では見かけません。
追記) USモデルは、運がよければ店頭にもあるようです。
着心地について
レインウェアの着心地は「ゴワゴワしていて着心地が悪い」というのが通説でしたが、最近はそうでもなくなってきています。ゴアテックスでも 3レイヤーの C-knit backer といわれる着心地のよいものや、さらにはストレッチ性を有するレインウェアも発売されています。
ゴアテックスには3レイヤーと2レイヤーがあります。3レイヤーはゴアテックス素材に表地と裏地を貼り付けて、耐久性と着心地を向上させたもので、こちらが一般的です。2レイヤーは表地か裏地のどちらかが省略されています。裏地の生地が省略されていて、ポリウレタンが吹き付けられている paclite が一般的なようです。
モンベルで試着した印象は、着心地は3レイヤーのストームクルーザーが一番好感触でした。2レイヤーのトレントフライヤーはストームクルーザーに比べると多少ゴワゴワ感があります。よくないとされている肌触りに関してはよくわかりませんでしたが、年中長袖長ズボンなので直接肌に触れることはありませんからあまり気になっていません。
ストレッチ性はあったに越したことはないのでしょうが、耐久性は落ちるかもしれませんし、重量の点でも不利です。またトップスとボトムスでは事情は異なります。一般のトレッキングでは、上半身よりも下半身の動きが多いので、パンツにはストレッチ性があったほういがいいかなと思います。
レインウェアのパンツの着脱のしやすさについて
レインウェアのパンツは、登山靴を履いたままの状態で着脱するのは非常に難しい。シューズにレジ袋をかぶせてから足を通すとスルッと履けるという技もあるのですが、私の場合は片足で立っておくとふらつくし、足の曲げ伸ばしは少し不自由です。そんな私には、側面がフルオープン、フルジップになっている仕様のパンツは非常にありがたい。立ったまま着脱できるので、少なくともレインウェアのパンツの着脱に対する抵抗はなくなります。
モンベルのレインウェアでフルジップ仕様のパンツには、ゴアテックスのストームクルーザーとオリジナル透湿素材(ドライテック)のストレッチレインがあります。
防水性能はそれぞれ、50m / 20m (2.5倍の差)
透湿性能はそれぞれ、35kg/m2/24h / 15kg/m2/24h (2倍以上の差)
重量はそれぞれ、217g / 292g (1.3倍の差)
収納サイズはそれぞれ、8x8x13cm / 8x8x14cm
価格はそれぞれ、15400円 / 10800円 (税抜)
表地はそれぞれ、20デニール リップストップ / 40デニール ナイロン
ストレッチ性能はそれぞれ、なし / あり
防水耐水性能、透湿性能、重量、これらのアドバンテージを諦めてもストレッチ性能を優先するかどうかは意見の分かれるところでしょう。個人的には、レインウェアのパンツに関しては、フルジップ機能&ストレッチ性能を優先したいなあと感じています。
残雪期でしたが、ドライテックのサンダーパスパンツを着用して伯耆大山に登ったとき、蒸れを感じなかった記憶がそう思わせているのかもしれません。また、下半身はあまり汗をかかないし、ゴアテックス素材のレインウェアであっても、雨中であればかいた汗の分だけは蒸れるでしょうから、ゴアテックスの優位性は少ないだろうという印象もあります。
レインウェアは、失敗したからと言ってすぐに買い換えられるほどの価格ではありませんから慎重に選びたいものです。
ミレーのティフォン、ノースのクライムベリーライトジャケット、ファイントラックのエバーブレスフォトン、ティートンブロスのツルギ、どれがいいのかなと迷いながら、以上のような考察をこねくり回しています。
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