一眼レフ、ミラーレスで使う三脚の選び方
いわゆる一眼レフクラスのカメラを乗せる三脚はどれを選べばいいのでしょうか。
撮影のジャンルや撮影の仕方、使用するカメラ&レンズなどによって、適切な三脚は違ってきます。そこをあえて一本といわれると、フルサイズカメラなら28mm径、APS-Cのカメラなら25mm径、マイクロフォーサーズなら22mm径、素材はカーボン、ブランドはスリックかベルボンを買っておけば大きくはずすことはないと考えます。
使用場面や使うレンズによっては不便な事もでてきますので、必要に応じて追加することになり、使用目的によって3本くらいで落ち着くことになるでしょう。
ちなみに私が最初に目を瞑って買ったベルボン630は 28mm 径で、もう10年使っています。そして現在は3本に落ち着いています。
三脚という道具は、比較的単純な道具です。構成部品も単純だし、使用目的も「フレーミングを固定して維持しておくこと」と「ブレを防ぐこと」くらいです。その目的達成だけなら、重くて大きい三脚のほうが高性能だというのは直感的にはわかる話ですが、実際には携行性能、多様の開脚角度などの利便性も重要な性能と考えるべきです。
1.脚について
1-1.脚の素材を選ぼう
1-2.脚のサイズを選ぼう
1-3.脚の段数を選ぼう
1-4.ロック機構を選ぼう
2.雲台について
2-1.3ウェイ雲台
2-2.自由雲台
3.まとめ
1.脚について
三脚のスペックには耐加重という項目があります。この値はメーカーに寄っても基準は違うと聞きますし、三脚が倒れない目安の数値ということらしいので、必ずしも理想的でない撮影現場の環境では丸々鵜呑みには出来ません。一般的な使用においては、半分くらいの数値と考えておけばいいのではないでしょうか。
望遠ズームを含むキットレンズを使用することを想定した場合、いわゆる一眼レフを使用するのならば、雲台とセットで耐荷重 4kg 位はみておいたほうがよろしいと思います。100mm 程度までの標準ズームまでなら 3kg でも大丈夫かもしれません。それ以下であれば、最下段は伸ばさないなどの工夫が必要な場合があるでしょう。
「センターポールを伸ばさないで、カメラが目の位置に来る高さが望ましい」と言われています。最近のカメラはファインダーよりも背面液晶を使うことのほうが多いでしょうから、個人的にはやや低くてもいいのではないかと感じています。
1-1.脚の素材を選ぼう
カーボンかアルミかという事ですが、汎用的に使うなら迷わずカーボンでしょう。カーボンは軽いと思われがちですが、必ずしもそうではありません。ベルボンの700番台は 32mm径の脚で、同等の脚のハスキー3段と総重量はほぼ同じです。
カーボンの優位性は「軽い」ということよりも、振動の収まりが早かったり、しなりに対してもアルミより高性能だということです。ですので、よほど使用目的が限定的で明確でない限り、アルミ脚の選択は避けておいたほうがいいと思います。
1-2.脚のサイズを選ぼう
脚のサイズは最上段の脚の径で区分します。36mm~22mmくらいまであります。ベルボンのカルマーニュで言うと 800番台が36mm、700番台が32mm、600番台が28mm、500番台が25mm、400番台が22mm となっていて、ユーザーが自由に選択できるようになっています。
感覚的な話で申し訳ないですが、概ね、換算100mm程度までなら25mm径、300mmまで使うなら28mm径、400mm以上を使うなら32mm径以上、というのが個人的な目安です。最近のキットレンズは APS-C であれば、換算400mmまでカバーしているので、できれば 28mm径、少なくとも25mm径をチョイスするのがよろしいと思います。
1-3.脚の段数を選ぼう
段数は三段と四段が一般的です。三段のほうが丈夫で操作が楽、四段のほうが縮長が短いので携行に楽。どちらを主眼に置くかでチョイスするといいでしょう。四段の場合、最下段はかなり細くなりますので、環境が厳しければ最下段は使用しないという程度の覚悟はしておいたほうがいいでしょう。
四段は携行に楽と書きましたが、実は必ずしもそうではありません。専用の収納ケースに入れて公共交通機関を利用したり、リュックに縛りつけて背負う分には楽なのですが、ハダカの三脚をストラップでタスキ掛けにする場合は長さが中途半端で、案外三段のほうがバランスが良かったりします。それは三段と四段の両方を使ってみて始めた感じたことなのです。
1-4.ロック機構を選ぼう
脚のロック機構は、締め込み式のロック方式、ワンタッチのレバー方式があります。三脚の性能には大きな差はないです。好みとは言いますが、初めての買い物では好みといわれても困ります。最初はレバー式が使いやすそうに感じるかもしれませんが、両方使ってみるとさほど差はないです。案外ナット式のほうが使いやすく、掃除やメンテナンスも楽です。
携行目的の四段なら引っ掛かりの少ないナット式のほうがよいと思います、据え置きで使うならどちらでもOK、両方使ってみてそんな風に感じています。
Velbon カーボン三脚 ナット式 Geo Carmagne N545MII 4段 中型 3Way雲台付 クイックシュー対応 442505
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2.雲台について
雲台には大きく分けて3方向を独立に決める3ウェイ雲台と、一つのつまみで位置を決める自由雲台があります。少々乱暴な言い方ですが、静物には3ウェイを、動き物には自由雲台を、と申し上げて差し支えないでしょう。
静物というのは風景・人物・ブツ撮り・置きピンなどを指し、動き物というのは鳥・飛行機・自動車レース・スポーツ選手などのようなものを指します。
一声、風景写真とか人物写真(ポートレイト)というとスナップ写真と混同してしまいやすいのですが、ここでいう風景写真や人物写真とは、先に背景を決めておいて、そのときを待ったり、被写体にその場所に来てもらって撮影する写真のことをいいます。
風景写真というのは本来は、背景(フレーミング)を決めておいて、光がさすのを待ったり、太陽が昇ったり沈んだりっするのを待ったり、風が止まるのを待ったり、置きピンで船・飛行機・電車が航行するのを待ったりして撮影するものです。人物写真(ポートレイト)とは本来は肖像画、七五三や成人式や結婚式のとき写真館で撮るような写真であって、こちらも先に背景が決まっています。
いずれも長時間、同じ場所にカメラを設置しておいて撮影するものです。スナップとの境は微妙なものがありますが、このような用途では間違いなく3ウェイ雲台が望ましいです。
しかし携行重量の関係で、やむを得ず自由雲台を使う場合もあります。
一方、先に被写体を決めて、それを探したり追いかけて撮る場合を動き物と呼んでいて、この場合はフレキシブルにフレーミングを変えられる自由雲台のほうが望ましいです。
2-1.3ウェイ雲台
字のごとく三方向独立に設定することが出来る雲台です。細かいことを言えばパン棒の締め方に「コマ締め」と「割り締め」という異なる方式があります。締めこんだ時にフレーミングが変化しにくいのが「コマ締め方式」です。以前はハスキー3Dが有名でしたが、最近は各社から「コマ締め」雲台を発売されていますので、買い求めやすくなりました。
水準器が付属している場合がありますが、経験上これら精度はあまり良くないので、あまりアテにしないほうがいいです。
クイックシューと一体型になっている雲台があります。個人的には 400mm 以上になるとクイックシューは極力使用しないようにしていますが、屋外で撮り歩くスタイルではクイックシューがあると便利です。稀な話でしょうけど、移動中にクイックシューを岩にぶつけてレバーが折れてしまって撮影続行不能になったという事例も聞かされていますので、ハードな場所に行くのであれば軽い自由雲台を携行しておく必要があるのかもしれません。
2-2.自由雲台
操作が簡単で素早くできるということと、比較的軽いという点が利点です。しかし水平出しを必要とするような場面では使いにくいものです。
自由雲台には、フリクションコントロール(FC)と呼ばれる機能が搭載されているものといないものがあり、FCがあればかなり使いやすいのですが、お値段や重量もそれなりになります。アルカスイスの製品、KIRK の自由雲台など、高性能で使いやすそうなものもあります。そこまでは出せないというのでしたら、国産の KTS か、梅本製作所製の自由雲台を試してみるといいでしょう。スリックの自由雲台はなかなかいいですよ。
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3.まとめ
ということで、一眼レフの一般的な使用目的(24mm~300mm)では、スリックかベルボンの28mm径か25mm径のカーボン製の製品をお勧めします。ジッツォ、マンフロット、ハスキーなどから選ばなくても大丈夫です。脚のロック機構と段数は使用目的と照らし合わせ、雲台はよくわからなければまずは3ウェイ雲台がいいでしょう。面白味はありませんがいたって汎用的で無難です。
一点豪華主義では、国産品より海外製品のほうが魅力的な場合は多いです。
開脚角度は変えられないが安定感抜群のハスキー(現在ではアメリカ仕様のまま日本国内製です)、水平出しやブツ撮りにはとても使いやすいマンフロットのギヤ雲台、強度では最強と聞かされたジッツォの脚、自由雲台では最高峰といわれるアルカスイス、いろいろと目移りはします。これらはよいものだと思いますが、最初の一本には必ずしも適当だとは思いません。
こうして喧々諤々、すったもんだで入手する三脚ですが、一番肝心なのはその使い方です。使い方を間違えると、32mm径の三脚でもぶれる時はぶれます。上手く使えば25mm径でも十分使える。三脚と本体のゆれが収まるのを待ち、ミラーアップして撮影することを厳守すれば、三脚本来の性能を余すところなく発揮させることが出来るでしょう。
雲台メーカーに聞く「ブレない」三脚の選び方と使いこなし