道楽者の詩

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アコースティックギターの弦選び Martin AuthenticAcoustic Strings

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Martin Authentic Acoustic MA175

 

愛用していたマーチンのギターの弦が昨年リニューアルしました。自宅の在庫がなくなったので、新しい製品を1セット、恐る恐る注文をしてみました。Martin AuthenticAcoustic(マーチン オーセンティックアコースティック)、どうでもいいけど長すぎませんか?

 

ギターの弦ごときに何を「恐る恐る」と大げさな、と思われても仕方ありませんが、これまでに費やした弦選びの時間と労力はそこそこ膨大でした。20年位前までは選択肢はあまりありませんでしたが、ネットが普及したころから急に選択肢が増えました。

 

選択肢のほとんどない中学生高校生の頃でも YAMAHA の弦だけは使えませんでした。主に Morris USA、たまに Morales Phosphor を使っており、大学生になった頃から Martin の弦を使うようになりました。1セット1000円、2セットで1400円くらいだったような記憶があります。1セットで二週間くらいしか持ちませんでしたね。使用済みですが、当時のパッケージを保管していました。懐かしいですね。

 

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1970年代後半の Martin Strings

 

年に一回、正月には景気付けで Martin MARQUIS を買っていました。

 

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Martin MARQUIS M2100

 

しかしその MARQUIS の品質は下がり、2000年になってからは製造ロットに不備が生じたらしく、巻弦の巻が甘くなったみたいな感じになって使う気が失せてしまいました。スタンダードな M 3桁シリーズは、1日使うだけで交換したくなるほど短命になり、結局弦探しの旅に出ることになるわけで、膨大な時間と労力を費やすことになりました。

 

ギターも数も増え、どのギターにどの弦を使うのがよいのか、納得がいくまで試そうとしますからタチが悪い。国内だけでの調達では気がおさまらず、アメリカから個人輸入で何種類もまとめて買って試しました。さあ何度張り替えたか、もう数え切れませんが、ギターと弦はアメリカ製に限ります。

 

紆余曲折ありましたが、ここ数年は、Side&Back = Rosewood のロングスケールギターにはカスタムライト Martin MSP3050 (Bronze CustomLight Gage)、Side&Back = Mahogany のギターにはライト Martin MSP4100 (PhosphorBronze LightGage)に落ち着いていました。その落ち着いていた弦が昨年で廃番になってしまったのです。

 

Martin MSP というのは2000年以降に発売されたSP弦といわれる薄めのコーティング弦で、試しで何度か使ってみました。最初の頃のSP弦の印象はとてもよくなかった。1・2のプレーン弦がゴールドにコーティングされていたこともあってか、こもった感じというか、どうも切れがよくなかった。その MSP は時々こっそりと改良されていたみたいで、いつのまにかウェットな感じのサウンドになりました。どうも自分がイメージするアコースティックギターの音(ひと言ではとても表現できません)とは違うイメージのサウンドでした。

コーティング弦というのは2000年を越えて流行り出し、エリクサーというすごい長寿命の弦が走りでした。その後ダダリオをはじめ各社から発表されましたが、どうにもこうにもわざとらしいサウンドが多く、個人的には好きになれませんでした。

ということで、MSP を試しながらも少々値段が高い JohnPearse 600L という PhosphorBronze Light にしばらくの間浮気していた時期もありました。特にショートスケールのギターには相性がよかったですが、ロングスケールのレギュラーチューニングではテンションが強すぎました。SideBack=RoseWood のギターは、ネックが薄く、スキャロップド フォワードシフテッド  Xブレイシングのボディーが華奢なので、ライトゲージ(約70kgのテンション)を張りっぱなしにしておくのはちょっと厳しい(腹が出る)。試行錯誤の末、カスタムライトを張りっぱなしにすることにしました。Phosphor でなく Bronze  にしているのは値段のせいではなく、ギターとの相性というか、サウンドの好みからです。

 

自分の場合、サウンドがどうあろうとも、Martin のライトゲージには他にない魅力を感じていました。それはプレーン弦の1・2弦、左指で押弦したときの感触です。ライトゲージの1弦の太さは、メーカーに関わらず 0.012inch と記載されていますが、押弦する左手の指先で感じる感触は多少違いがあります。また音の太さも微妙に異なります。

個人的には、比較的落ち着いて太めのサウンドで、キンキンしない Martin のライトゲージのプレーン弦が大好きなのです。この一点で、浮気しながらも細々と Martin の弦を使うようにしてきました。巻き弦をダダリオ、プレーン弦をマーチンという組み合わせも何度か試しました。

 

そして数回のマイナーチェンジを経て、最終のSP弦(MSP4100/MSP3050)の落ち着いたサウンドに満足して、これからもずっとこれを使いたいと思っていました。

 

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Martin MSP4100

 

ところがこの MSP シリーズが終焉を迎えまして、新たな製品がラインナップがされました。MSP の後継は AuthenticAcoustic MA シリーズだと、どこかでみました。しかしAuthenticAcoustic MA シリーズは、三段階ある新シリーズの最廉価シリーズで、品番のラインナップからしても、1〜2日しかもたなかった M 3桁シリーズの後継ではないかという印象です。M 3桁シリーズの耐久性と品質を少し向上させて、値段をぐんと上げたという感じじゃないのかな。

 

三段階ある新シリーズとは、

1.Superior Performance(たぶん昔のスタンダード)

2.Marquis Silked(たぶん昔のマーキス)

3.Lifespan 2.0(コーティング弦)

 

 

Superior Performance の主な品番は下記のとおりです。

> Bronze(80/20)

Custom Light:MA175 ← M175 

Light:MA140 ← M140

 

> PhospherBronze(92/8)

Custom Light:MA535 ← M535 

Light:MA540 ← M540

 

 

このような経緯を経て「恐る恐る」、自宅在庫の切れた CustomLight Bronze Gage を1セット購入しました。値段も値段ですが、重要なのは品質と相性です。

 

 

とりあえず Blanchard に張って音を出してみました。以下、MSP3050 と MA175 の比較です。

・見た目上、MA175 のプレーン弦にコーティングは施されていない。

・テンションは MSP3050 < MA175 です。

・パワーは MSP3050 ≦ MA175、MSP3050 にあったペシャペシャ感はない。

・サウンドは妙な癖がなくて安心できる、レスポンスもよく立ち上がる。弾き手次第、ギター次第といえるかもしれない。

・M140 で顕著だった張りたてのジャリジャリ感は少なく、最初から落ち着いたサウンド。MSP と比べると、ややエッジが立っていて元気な感じ(数時間で多少は落ち着く)。

・チューニングの安定感は標準以上、耐久性は不明ながら、M 3桁よりは長いだろうけど MSP よりはかなり短いと予想します。

 

 

引き続き Light PhosphorBronze Gage (MA540)も購入しました。

ショートスケールの OOO-18S に張ってみました。MSP4100 と比べて、テンションは同じくらい、パワーはやや弱いかも、数日使ってみないと判りませんが、MSP の品質には及ばない感じ。Bronze を試してダメなら JohnPearse 600L に戻すかもしれません。

 

 

弦の値段もバカにはできませんが、もうしばらく気長に試そうと思います。現時点は、それぞれのギターに合う弦は以下のように考えています。

 

Blanchard the Bristlecone (LONG Scale) ⇒ Martin MA175 or MA170

このギターのトップは比較的柔らかめのイングルマンスプルースで、ブレイシングはスキャロップド フォワードシフテッド です。MSP3050 なら問題なかったのですが、 同じカムライトの MA175 だと腹が出てきて、張りっぱなしにするには少々危険を感じます。EXLight にするかもしれません(ナット溝の問題もあるので慎重にはなります)。

 

Santacruz OM (LONG Scale) ⇒ Martin MA175

Blanchard よりは頑丈だと思うので、MA175 で大丈夫だと思う。

 

Collings OM-1A (LONG Scale) ⇒ Martin MA540 or Martin MA175

これはライト張りっぱなしでも大丈夫なのですが、指が痛いので普段は半音下げています。ですので MA540 (普段は半音下げ) 、もしくは MA175 でいいかなと思います。でも JohnPeaese にするかも。

 

Toru OOO-18S (Short Scale) ⇒ Martin MA540 or JohnPearse 600L

そもそも相性は JohnPearse 600L のほうがよいので、値段を考えると MA540 は使わないようにするかもしれません。

 

 

Side&Back がマホガニー系のギターには Bronze を、Side&Back がローズウッド系のギターには PhosphorBronze が相性がよい、という解説を何度か見聞きした記憶がありますが、あまりに気にしないほうがよいですよ。自分の耳を信じましょう。

 

 

bluesboy.hateblo.jp

 

 

 

  

JohnPearse(ジョンピアース) アコースティックギター弦 600L

JohnPearse(ジョンピアース) アコースティックギター弦 600L